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銀器-貴族階級から生まれたテーブルマナーとシェフィールド・シルバー

銀器-貴族階級から生まれたテーブルマナーとシェフィールド・シルバー

デパートメント56の銀職人と専門店

デパートメント56には、銀に関連する職人のミニチュアのアクセサリや専門店のライトハウスが数点あります。当店ではその数少ないアイテムを扱ったので、ヨーロッパの歴史における「銀食器」についてご紹介しましょう。

デパートメント56 銀職人のアクセサリ    デパートメント56 銀の専門店 ライトハウス

銀食器から始まったテーブルマナー

中世ヨーロッパでは、銀製品といえば教会の祭祀用の銀器や燭台などに使われるだけでした。人々の食卓に銀器が登場したのは、15世紀イタリアルネッサンスの時代になってからです。フランス、イギリス、ドイツ、そしてスペインなどにも広まりましたが、純正の銀器を作ることは難しく銅などが混ぜられて作られていました。17~18世紀になるとフランスやイギリスで銀工芸が盛んになり、貴族階級の間でテーブルマナーやテーブルセッティングが生まれす。しかし、純正の銀となると貴族階級や中産階級の中でも一握りの富裕層にしか手にすることができませんでした。

中産階級の間で広まった銀メッキ

1742年頃になると、イギリスの銀の生産地であるSheffield(シェフィールド)の銀職人トーマス・ボルフォヴァ(Thomas Boulsover)が銀メッキを発見し、後に「オールド・シェフィールド・プレート」と呼ばれるようになる銀製品が中産階級の間で一気に普及するようになります。

シェフィールドシルバー    シェフィールドシルバー

シェフィールドの銀製品の品質保証

シェフィールド・シルバーが普及するにつれ、その品質を保証する必要がでてきました。そこでイギリスでは、SHEFFIELD Assay Officeが設立されます。その名の通り、品質保証を分析する機関です。貴金属(プラチナ、金、銀)で作られるアイテムを、アッセイオフィスで分析評価し、その事務所が置かれている場所ごとにホールマーク(Hallmarks)が刻印されます(下写真)。これが品質保証マークになります。

この機関は、1773年から分析評価を始め、ホールマークの刻印を行っています。このマークは機関(国)によっても異なります。写真はSHEFFIELD Assay Officeの銀のホールマークです。この機関では、他にも歴史的に貴重なシェフィールド・シルバーを1000以上収集し、シェフィールド・シルバーに関わるありとあらゆる資料を豊富に取り揃え、デザイナーや職人の育成や支援なども行っています。

SHEFFIELD Assay Officeの銀のホールマーク

 

ヴィクトリア朝時代の銀

ヴィクトリア朝時代については、別のビレッジ・ライブラリーでもいろいろとご紹介していますが、デパートメント56に関連した時代でもあるので、この時代のイギリスの銀器についてご紹介しましょう。 銀器のデザインは、時代によってその嗜好が変わります。ヴィクトリア朝のスタイルは、大量生産から一般家庭にも出回るようになり、テーブルセッティングが確立された時代です。特徴としては、初期にはロココの華やかなスタイルが見られ、中期・後期には、ゴシックスタイルが見られます。重厚な絹織物、多彩な色彩など、重々しい装飾と花柄など女性らしい装飾が人気でした。

アーツ&クラフツ運動

産業革命が起きたこの時代、特に初めて開かれたロンドン万博が開催された頃は、銀生産も大量に行われピークを迎えます。 いつの世も一緒ですが、大量生産は多くの人に潤いを与える反面、大切な文化や技術が衰退する可能性も秘めています。「大量」に生産するにはどうしても「純粋」なものが欠けてしまいがちです。ヴィクトリア朝も同じでした。そこで、クラフツマンシップ(「職人の技能」の意)の衰退を危惧したウィリアム・モリス(1834-1896 イギリスのデザイナー第一人者、詩人)らが、「アーツ&クラフツ運動」を起こします。そこから、中世の職人たちの手作業を見直し存続させようという気運が高まり、ヨーロッパに広がっていきました。現代のヨーロッパでもそれは続いていますね。 デパートメント56にも、クラフツマンの家「Revere Silver Worker」というミニチュアのアクセサリがあります。銀職人の家ですが、これに限らずデパートメント56にはアーツ&クラフツ運動の精神が感じられる職人のライトハウスやアクセサリが多数あります。

銀製品のブランド

ヨーロッパの銀の歴史の中で、いくつものブランドメーカーが生まれましたが、今日もデザインや技術を継承している老舗があります。

フランスにおいては、1820年創業のPuiforcat(ピュイフォルカ)や1830年創業のChristofle(クリストフル)などがあり、後者は日本国内で最も大きなシェアをもつメーカーです。

アメリカでは、日本でもお馴染みの1837年創業のティファニー&カンパニー。銀のアクセサリは日本でも人気が高いですね。

そしてイギリスでは、1735年創業のAsprey & Garrard(アスプレイ&ガラード)や1774年に設立されたMappin&Webb(マッピン&ウェブ)が有名です。特に後者は、イギリスで最も有名なブランドで、シェフィールドで高品質の銀製品を製造することからその名声が急速に広まり、1897年にはRoyal Warrants(英国王室御用達許可証)を持ち不動の地位を得ました。

今でも、銀器を使う高級ホテルやレストランでは、その格式の高さを表すものとしてテーブルウェアの中で最も重要なものとして認識されています。 各ブランドメーカーおよびSHEFFIELD Assay Officeのホームページアドレスについては、当店のリンク集をご覧ください。

参考文献:佐藤よし子 食卓を彩るシルバー 講談社