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陶磁器の世界―ボーンチャイナから笠間焼まで

陶磁器の世界―ボーンチャイナから笠間焼まで

デパートメント56のミニチュアのライトハウスやアクセサリは陶器製のものですから、窯元や陶器職人は直接的に関連する世界です。数は少ないのですが、窯元や陶器職人をテーマにしたアイテムが何点かあります。デパートメント56のグループ会社LENOXは、ファインボーンチャイナなどのテーブルウェアの老舗ブランド・メーカーです。ホワイト・ハウスなどにも収めています。当店でもLENOXをモデルにしたライトハウスを扱いました。

デパートメント56 陶器職人のライトハウス  デパートメント56 レノックスのライトハウス 

グラッドストーン陶磁博物館

イギリスの陶器というと、ウェッジウッドやスポードをイメージする方が多いと思いますが、実はイギリスは陶磁器技術については他のヨーロッパ諸国に比べ遅れをとっていました。イタリアのマジョリカ焼き(マヨルカ島から発信されたイベリア装飾)やオランダのデルフト(日本の有田焼や中国景徳鎮の影響を受けた絵付け)が絶頂期の頃でも、イギリスの職人は素焼きのタイルや酒壷などを作っている状態でした。

そんなイギリスでも、ヴィクトリア朝になるとアフタヌーンティにも代表されるように、ハイセンスな食器が大量に作られるようになります。 そんな時代を反映する大窯元がイギリスのストーク・オン・トレントにあります。現在は博物館になっているGladstone Pottery Museum(グラッドストーン陶磁博物館)です(下写真)。

ここは、1750年に建造され、ヴィクトリア朝から1960年までの長い間活躍した大窯です。日本ではちょっと見られないほどの巨大な窯です。初期のイギリスでは土色の素朴かつ単純な素焼きが多かったので、現在でいう高級ボーンチャイナの艶やかな白さを作るまでには、当時はかなり苦労したようです。この白さを作るためにはカリオンという成分が欠かせませんが、骨灰を混ぜて工夫したようです。

イギリス グラッドストーン陶磁博物館

ボーンチャイナとファインボーンチャイナの違いは、骨灰が含まれる量によってその呼び名が変わります。ファインボーンチャイナは、骨灰の含有量が50%以上のものをいいます。ですからボーンチャイナはクリーム色が多く、それに対してボーンファインチャイナは透光性が強くより白い印象があります。

デパートメント56 ライトハウス ロイヤル・スタフォードシア・ポーセリンズ

上写真のデパートメント56のライトハウスとグラッドストーン陶磁博物館の壷の形を見てください。そっくりですね。アイテム名は「Royal Staffordshire Porcelains(ロイヤル・スタフォードシア・ポーセリンズ)」。

そうです。この博物館がある場所は、スタフォード州のストーク・オン・トレントですから、この博物館をモデルにDickensシリーズでリリースされたものです。入り口のところに、タイルが張られているのもヴィクトリア朝の歴史的背景を正確に反映していますね。レンガでできている特徴のある窯の部分は、ボトル・キルン(bottle kiln)と呼ばれます。日本の丸い形の窯とはまた趣が異なります。

それにしても、こんなに大きな窯でどのようにして窯の温度を上げたのでしょうか。産業革命のすさまじさを感じます。イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館(Victoria and Albert Museum)には、膨大な数の陶器コレクションがあります。日本文化の影響を受けたものや、ヴィクトリア女王をイメージした中国趣味の「シノワズリー」の品々も多数あります。シノワズリーはアンティークとしても現在も世界中で人気がありますね。この美術館のウェブサイトは、当店のリンク集でもご紹介しています。興味のある方はそちらにお進みください。

笠間焼

当店オリジナルのガーデンアクセサリで笠間焼の陶器を使用することがあります。ボーンチャイナとはまた異なる陶器の世界ですが、せっかくですので、当店の地元でもある「笠間焼」についてご紹介しましょう。

笠間焼は関東で一番歴史が長い窯場です。江戸時代中期の1772年から81年に開窯されました。当初の笠間焼の特徴といえば、白、茶、黒、青など色や形もとてもシンプルなデザインで、日常雑器に使われるものでした。有田焼に見られる華やかで優美な装飾はあまり見られません。

益子焼で有名な益子は笠間から車で20分ほどのところにありますが、笠間の窯元で技術を学んだ大塚啓三郎という人が元祖といわれているので、兄弟窯元といわれています。陶器の雰囲気も似ています。ただ、益子焼は伝統工芸という印象がありますが、現在の笠間焼は、伝統工芸というよりは、個々の陶芸家の個性を生かすのに適した窯元といえます。ですから、個性豊かな陶芸家が集まり、海外からの陶芸家も製作に励んでいます。作品もそれぞれの個性を生かしたものが多くあります。

笠間焼 花瓶 笠間焼 急須 笠間焼 

また、人間国宝の松井康成(Matsui Kosei 1927-2003)氏も長年笠間に在住した陶芸家の一人です。彼の作品は異なる土を重ねて文様のある生地土をつくり生成する古来の技法を追及し、「練上手(ねりあげで)」の技術保持者として人間国宝の認定を受けました。古来の技法ながら、芸術的で美しく、繊細でありながら力強い作風となっています。

人間国宝の松井康成の作品

陶炎祭

毎年ゴールデンウィーク期間中、「笠間 陶炎祭(ひまつり)」が笠間芸術の森公園内で行われます。笠間芸術の森公園内には、笠間陶芸美術館があり、ここでは松井康成氏の作品も見ることができます。

陶炎祭(ひまつり)で展示された窯  2008年 陶炎祭(ひまつり)のポスター  陶炎祭(ひまつり)のショップ

陶炎祭では広大な美しい森に囲まれた公園内に150ものお店が並びます。陶芸家自らお店を出すので、直接陶芸家と話せるのも陶炎祭ならではです。また、通常お店で購入するよりも割安で陶器を購入することができます。その他にもいろいろなイベントが開催されます。全国から13万もの人々が訪れます。 また、秋になると文化の日の休みを利用した「匠まつり」が開催されます。ここでもお店がたくさん出ますが、秋の収穫祭というコンセプトもあるので、地元の農産物の展示販売も行われます。私も、お祭りに自転車でいき、その年の思い出になるような陶器を購入したりします。

陶炎祭(ひまつり)のショップ 陶炎祭(ひまつり)のショップ

笠間陶芸美術館(笠間芸術の森公園)ができてから、周辺の環境も変わり、道沿いにはおしゃれな陶芸店が多くなりました。モダンなデザインの笠間焼が数多く見られるようになり、見た目にもとてもおしゃれで楽しいです。 陶器に関連する歴史などに興味のある方は、笠間市立図書館がお勧めです。この図書館では、陶器に関する様々な書籍を貯蔵しています。中には貸し出しができないものもありますが、陶器に関することを中心に書籍を集めているので、貴重な書籍も見つかるはずです。 陶炎祭、笠間陶芸美術館、そして笠間図書館については、当店のリンク集でもご紹介しています。今年のイベント情報なども得られるので要チェックです!

参照文献
淺丘敬史 「ヨーロッパ陶磁の旅物語(2) イギリス・フランス」グラフィック社
安田弘子 古くて新しい西洋アンティークのお話し 東急エージェンシー
益子・笠間やきもの紀行 主婦と生活社
笠間焼200年のあゆみ 茨城県歴史館