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バスやタクシーのはしり - オムニバスとハンサム・キャブ

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馬車といってもその用途は様々。四輪馬車のほか二輪馬車もありました。デパートメント56のシリーズでも乗合馬車、荷物を運ぶ馬車、上流階級の人々が乗るような優美な馬車など様々なミニチュアのアイテムを発表しています。

オムニバス

馬車に乗れるのは上流階級と決まっていた時代もありましたが、1662年には、パリでも乗合馬車が運行していました。イギリスでは1820年頃に導入され、この乗合馬車は、”Omnibus”(オムニバス)と呼ばれました。これがバスのはしりです。下左写真は、デパートメント56のアイテムですが、様々な階級の人々がオムニバスに乗車している様子が伺えます。オムニバスがより庶民的になり市民の足となったのは、1851年の万国博覧会がきっかけでした。大量の客を運ぶ公共の交通機関となったわけです。この頃になると、二階建てのオムニバス(下右写真)も登場し、色合いを変えたものや側面に広告などを入れたものなど様々なオムニバスが増えました。

デパートメント56 馬車のアイテム     オムニバス

貴族が所有する馬車

一方上流階級やアッパーミドル階級は、デザイン性の高いものや機能性のよいものを所有していました。これがどのくらいの資産家であるかを示す指針でもあったのです。下左の女性が乗っている写真は、ヴィクトリア型の馬車で、女性にも人気があったというデザインです。皇太子妃アリグザンドラも自ら馬車を走らせたとか。写真のほうは無蓋型の馬車ですが、下右写真のデパートメント56のミニチュアの馬車の形にそっくりですね。とてもラインが美しい馬車です。貴族などが乗るような高級馬車の雰囲気が出ています。

皇太子妃アリグザンドラが馬車を乗る様子  デパートメント56 馬車のアイテム

ハンサム・キャブ

これとは別にもう一つのタイプの馬車があります。これが”Hansom Cab“(ハンサム・キャブ)。二輪車の辻馬車で、今でいうタクシーのような乗り物です。軽量のオープン型で二人分の座席があり、馭者(御者)は客席の後ろの高い位置にいたので、客とも話すことができる設計になっていました。二人乗りといっても少し窮屈そうな感じもしますが、1834年に英国レスターシャー州ヒンクレーの建築家だったジョゼフ・ハンサムが製作し特許をとったところから名づけて「ハンサム・キャブ」となったようです。ロンドンだけでも約5700万台も走っていたようなので、キャブマンと呼ばれる馭者を職業とする人もかなりいたと推測できます。

ハンサム・キャブ

現代は車社会ですが、数百年馬車が乗り続けられたことから、欧米諸国における馬車文化の歴史がかなり長かったことがわかります。

ちなみに、英語では馬車をcabあるいはcarriageともいいますが、一番はcoach(コーチ)という言葉をよく使います。長距離を走るバスのことをcoachともいいますから、まとめて人を運ぶという名残からバスをcoachという表現を今でもするのかもしれません。

参考文献:谷田博幸 「ヴィクトリア朝百貨時点」河出書房新社 2001